「原発避難いじめ」撲滅宣言

福島県司法書士会及び東北ブロック司法書士会は人権問題である「原発事故避難いじめ」の撲滅を目指し司法書士及び司法書士会の行動指針をここに表明する。

一、「原発避難いじめ」は避難者の人権を侵害する行為である。司法書士及び司法書士会の活動を通して原発事故に起因する差別や偏見をなくすことを目指す。

 国民の権利の擁護と公正な社会の実現を使命とする司法書士は人権についてより意識を高めなければなりません。「放射能は移る」「障害のある子どもが生まれる」「相当分以上の賠償金を得ている」など根拠のない風評が子どもの世界に持ち込まれ「金銭の強要」や「・・菌」と呼ばれるなど理不尽な人権侵害(注1)につながっています。
 司法書士及び司法書士会はその使命として、あらゆる機会を通して原発事故に対する正確な情報の発信(注2)と人権啓発(注3)に努め「原発避難いじめ」問題の根底にある根拠のない思い込みと偏見の払拭に取り組みます。

一、「原発避難いじめ」問題の根底にある「根拠のない思い込みや偏見」を、次世代まで引き継がせてはならず法教育活動などを通して青少年の人権の啓発に努める。

 法務省人権擁護局が編集発行する人権啓発冊子「人権の擁護」平成28年度版には、東日本大震災に起因する人権問題として以下の項目があげられています。

  • 避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待
  • 差別的な言動
  • 職場学校等で嫌がらせやいじめを受ける事
  • 学校、幼稚園等への入学や入園の拒否
  • アパート等への入居を拒否される
  • 宿泊施設、店舗等への入店や施設利用を拒否される

以上のなかで特に2~6が原発事故に起因するものですが、いずれも根拠のない思い込みや偏見によるものです。そして遠い存在ではなく日常的に身近なところに存在するものです。我々が人権問題として声すら挙げてこなかった事は反省しなければなりません。司法書士自身も研修を通して人権問題に関する意識を高める必要があります。
 司法書士会の活動として行われている青少年を対象とした法教育活動においては、積極的に人権問題を取り入れ青少年に対する人権啓発を図るべきです。更には人権問題に取り組む法務省や弁護士会などとの連携を強化し公益活動の機会を通して相談や人権啓発の活動に努めることが原発避難いじめの撲滅に寄与する事と考えます。

一、「原発事故災害」を風化させてはならない。司法書士の使命として、避難者の生活再建が成るまで支援を継続する。

 原発事故による避難もまた人権侵害です。人格発達権や居住移転、職業選択の自由など「平穏生活権」を奪われた結果であり、放射線被ばくの恐怖や不安に晒されないため自己決定権に基づいた緊急避難です。そして全国の避難者は権利が侵害された状態が現在も続いております。また正当な請求権を有するにもかかわらず未だ原発事故により生じた損害の賠償請求に至っていない避難者が存在することは深刻にとらえなければなりません。すべての避難者が平穏な生活を取り戻すまで支援を継続することが権利の擁護を使命とする司法書士の責務と考えます。

【参考】
 注1:文部科学大臣奨励賞作文 「温かさを分け合って」南相馬市、宮原 理為智(みやはら だいち)
  http://www.moj.go.jp/content/000083922.pdf
 注2:人権啓発ビデオ 「私たちの声 3人の物語」
  https://www.youtube.com/watch?v=gxqW-6AN0tY
 注3:放射線被ばくの早見図
  http://www.nirs.qst.go.jp/data/pdf/hayamizu/j/20160401.pdf